宅建業免許 申請 必要書類の一覧と取得方法を徹底解説

この記事では、申請に必要な書類を一覧で示し、それぞれの取得先、費用、提出から交付までの流れまで通しで説明します。
書いているのは行政書士の中村隆之です。宅建業免許のサポートを8年やってきて、元は不動産仲介の現場にもいました。差し戻しでつまずく人を山ほど見てきたので、「ここで引っかかる」というポイントは具体的に書きます。
宅建業免許の申請に必要な書類一覧

まず全体像から。宅建業免許の申請書類は、法人か個人か、新規か更新かで変わります。ただ中心になる書類は共通です。免許申請書、宅地建物取引業経歴書、誓約書、略歴書、専任の宅地建物取引士設置証明書、事務所関連書類、納税証明書――この骨格は各都道府県の手引きに共通して出てきます。
申請書本体と添付書類の全体像
申請書本体(免許申請書)が幹で、そこに枝として添付書類がぶら下がる、というイメージで掴むと整理しやすいです。
| 書類名 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 免許申請書 | 申請者・事務所・取引士などの基本情報 | 様式は各都道府県で配布 |
| 宅地建物取引業経歴書 | 業務の経歴・実績 | 新規は実績なしでも様式に沿って作成 |
| 誓約書 | 欠格事由に該当しない旨の誓約 | - |
| 略歴書 | 代表者・役員・専任取引士などの経歴 | 関係者ごとに必要 |
| 専任の宅地建物取引士設置証明書 | 専任取引士の設置を示す書類 | - |
| 事務所関連書類 | 地図・写真・平面図・使用権限を示す書面 | 下の章で取得方法を解説 |
| 納税証明書 | 法人税または所得税 | 法人と個人で種類が違う |
東京都の手引きでは、宅地建物取引業法第10条に基づく閲覧書類として、業者名簿・略歴書・専任取引士設置証明書・経歴書・決算書の写しなどが公開対象に挙げられています。つまり提出書類の一部は外から見られる前提だと知っておくと、記載の正確さに気を配れます。
個人申請と法人申請で異なる書類
ここが一番混乱するところ。私の感覚では、相談で最初につまずく人の半分はここです。
| 項目 | 法人 | 個人 |
|---|---|---|
| 身分証明書・登記されていないことの証明書 | 代表者・役員・政令使用人・専任取引士など | 本人・関係者 |
| 略歴書 | 役員などの分が必要 | 本人・関係者の分 |
| 財務関係 | 直前1年間の貸借対照表・損益計算書 | - |
| 納税証明書 | 法人税 | 所得税 |
| 住民票 | - | 申請者本人の住民票が必要 |
法人は「役員全員分」を集める手間が地味に重い。役員が多い会社ほど、身分証明書と登記されていないことの証明書の枚数が増えます。ここは早めに人数を数えて動き始めてください。
新規申請・更新・変更届出での書類の違い
新規は一式フルセット。更新は中身が変わった部分を中心に出し直すイメージです。鹿児島県の案内では、免許の有効期間は5年で、更新申請は有効期間満了の日の90日前から30日前までに行う必要があります。
変更届出は、役員・取引士・事務所などに変更があったときに出すもの。新規でも更新でもなく、随時発生します。後半の章でまた触れます。
書類準備のチェックリスト
私が実際に使っている確認順をそのまま置きます。上から潰していけば抜けにくいです。
静岡県の手引きでは、証明書類・謄本・抄本は申請日から3か月以内に発行されたものが有効です。早く取りすぎると期限切れで取り直し、という事故が起きるので、取得のタイミングは申請直前にまとめるのがコツです。
各書類の取得方法と取得先
「どこで取るのか分からない」という声が本当に多い書類を、取得先ごとに分けます。役所をハシゴしないで済むよう、まとめて取れるものは一度に取ってください。

登記事項証明書の取り方
法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)は法務局で取得します。窓口・郵送のほか、オンライン請求にも対応しています。3か月以内発行のルールに合わせ、申請の直前に取るのが安全です。
納税証明書の取り方
法人は法人税の納税証明書、個人は所得税の納税証明書。いずれも税務署で取得します。法人ではあわせて直前1年間の貸借対照表・損益計算書が必要になります。
よく聞かれるのが「どの様式の納税証明書か」。税目(法人税か所得税か)を間違えると差し戻しになります。窓口で「宅建業免許申請に使う」と伝えると確実です。
身分証明書・登記されていないことの証明書の取り方
この2つは名前が紛らわしいので、ここで整理します。
| 書類 | 取得先 | 内容 |
|---|---|---|
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村役場 | 破産手続開始の決定を受けていない等を証明 |
| 登記されていないことの証明書 | 法務局 | 成年被後見人・被保佐人として登記されていないことを証明 |
身分証明書は「本籍地」でしか取れないのが落とし穴。本籍が遠方なら郵送請求になります。役員が多い法人だと、ここで一番時間を食います。
事務所の写真・間取り図の準備方法
事務所関係は、地図・写真・平面図・使用権限を示す書面が必要です。岐阜県の案内でも同様に求められています。
写真は外観(看板含む)と内部の両方を撮ります。私がよく直すのは「内部が片付きすぎて事務所に見えない」ケース。机・電話・パソコンなど、実際に業務している様子が分かるように撮ってください。
使用権限の書面は、自己所有なら不要なこともありますが、賃貸なら賃貸借契約書の写しが必要です。契約書の使用目的が「住居」だと事務所として認められないことがあるので要確認。
申請前に満たすべき免許要件
書類が揃っても、要件を満たしていなければ通りません。順番としては、要件確認が先、書類集めが後です。正直、ここを軽く見て後で詰む人が一定数います。

欠格事由の確認
誓約書で「欠格事由に該当しない」と申告します。過去の破産や一定の犯罪歴などがあると引っかかる可能性があります。役員全員が対象なので、申請前に全員に確認を取ってください。
専任の宅地建物取引士の設置
事務所ごとに専任の宅地建物取引士の設置が必要で、設置を示す証明書を提出します。専任取引士は常勤かつその事務所に専属であることが前提。掛け持ちは認められません。
事務所の独立性などの要件
事務所は独立した形態が求められます。自宅の一室を使う場合、生活空間と明確に区切れているかが見られます。ここが曖昧だと、写真と平面図で突っ込まれます。
私の経験上、自宅兼事務所の差し戻しはかなり多い。玄関を共用しているだけでも指摘が入ることがあります。迷ったら申請先に事前相談するのが一番早いです。
供託または保証協会への加入
営業を始めるには、営業保証金の供託、または宅地建物取引業保証協会への加入のどちらかが必要です。実務では、供託金の負担を避けるため保証協会に加入する事業者が多いです。費用は後半の章で扱います。
書類提出から免許交付までの手順

ここからは、書類が揃った後の流れ。1ステップ1動作で並べます。
提出部数と提出先の確認
提出部数や提出先は都道府県によって異なります。正本・副本の2部を求める自治体が多いので、各都道府県の手引きで部数を確認してください。知事免許は事務所所在地の都道府県が窓口です。
免許申請手数料・登録免許税の納付
宅建業免許の申請手数料は、複数の自治体資料で33,000円と案内されています。納付方法(収入証紙か現金かなど)は自治体で異なるので、提出先のルールに合わせてください。
申請から交付までの期間の目安
標準処理期間は自治体ごとに定められています。ここで断定的な日数を書くと誤解を生むので、提出先の手引きで「標準処理期間」を必ず確認してください。私の体感では、書類に不備がなければ1〜2か月程度で動くことが多いです(これはあくまで現場の体感で、公式の数値ではありません)。
電子申請・オンライン手続きの可否
オンライン申請も広がっています。鹿児島県は令和6年10月28日から、eMLITを利用したオンライン申請の受付を開始しました。対応状況は自治体で差があるので、提出先がオンライン対応かを先に確認すると無駄足を防げます。
知事免許と大臣免許の判断と申請先の違い
「自分はどっちで申請するの?」という質問も定番です。判断はシンプルで、事務所の置き方で決まります。

どちらに該当するかの判断基準
| 区分 | 事務所の設置状況 | 申請先 |
|---|---|---|
| 知事免許 | 1つの都道府県内にのみ事務所を置く | 事務所所在地の都道府県知事 |
| 大臣免許 | 2つ以上の都道府県に事務所を置く | 国土交通大臣(窓口は主たる事務所の都道府県経由) |
1つの県だけなら知事免許、複数の都道府県にまたがるなら大臣免許。これだけです。新規の多くは知事免許で始まります。
知事免許の申請先・問い合わせ先
知事免許は、事務所のある都道府県の宅建業免許担当課が窓口です。東京都なら住宅政策本部の担当ページで様式や手引きが公開されています。
大臣免許の申請先・問い合わせ先
大臣免許でも、申請書は主たる事務所の所在地を管轄する都道府県を経由して提出します。福岡県や北海道など、各自治体が大臣免許申請者向けの案内を出しています。まずは主たる事務所のある都道府県の案内を確認してください。
費用の全体像と行政書士に依頼する選択肢
費用は「申請そのものの費用」と「営業開始のための費用」を分けて考えると分かりやすいです。

免許申請手数料・登録免許税などの内訳
知事免許の新規申請手数料は前述のとおり33,000円です。これは申請のための費用。ここに、書類取得の実費(証明書の発行手数料など)が少額ながら積み上がります。
保証協会加入にかかる費用
営業を始めるには供託か保証協会加入が必要です。保証協会の加入費用は協会・地域で異なるため、ここで断定的な金額は書きません。加入を検討するなら、地域の協会に直接見積もりを取ってください。供託は金額が大きくなりがちで、実務では保証協会を選ぶケースが多いです。
行政書士に依頼する費用相場とメリット・デメリット
正直に言います。自分で出せる人は自分で出していいと思います。書類の山と役所往復が苦にならないなら、報酬分を浮かせられます。
一方で、役員が多い法人、自宅兼事務所、本籍が遠方で郵送請求が必要、といった条件が重なると、専門家に任せたほうが時間と差し戻しリスクを大きく減らせます。報酬の相場は事務所ごとに幅があるため、複数の事務所で見積もりを比べるのが現実的です。私の立場で言えば、要件の判断が微妙なケースほど依頼の価値が出ます。
書類不備・差し戻しでよくある失敗例と注意点

ここが、この記事で一番読んでほしい章です。差し戻しは時間も気力も削ります。私が現場で何度も見たパターンを共有します。
記入漏れ・添付漏れの典型パターン
多いのは、役員のうち1人分の身分証明書や登記されていないことの証明書が抜けるケース。「全員分」を見落とすんです。あとは証明書の発行日が3か月を超えていた、という期限切れも定番です。
事務所要件で引っかかる例
自宅兼事務所で、生活空間と区切れていない。賃貸借契約の使用目的が住居のまま。写真が片付きすぎて業務実態が見えない。この3つは本当によく起きます。
差し戻しを防ぐための事前確認
確実に一度で通したいなら、提出前に申請先へ事前相談するのが一番効きます。特に事務所の独立性は判断が分かれるので、写真と平面図を持って相談に行くと安心です。証明書類は申請直前にまとめて取る――この一手で期限切れ事故はほぼ防げます。
免許取得後に必要な手続きとよくある質問
免許は取って終わりではありません。営業開始後にやることと、変更が出たときの手続きを押さえておきましょう。

宅建業者票・報酬額表の掲示
事務所には、宅地建物取引業者票(標識)と報酬額表の掲示が必要です。営業開始までに用意します。掲示を忘れると指導の対象になるので、免許交付の連絡が来たら早めに準備してください。
免許証の書換え・再交付申請
商号や代表者などに変更があれば、免許証の書換え交付申請を行います。紛失・汚損したときは再交付申請です。様式は各都道府県で配布されています。
廃業等の届出
廃業・倒産・死亡などがあったときは、廃業等届出書を提出します。役員・取引士・事務所の変更があれば変更届出書を出す――この「届出関係」は免許を持っている限り続く義務です。
よくある質問への回答
よくある質問
まずは自分が知事免許か大臣免許かを確認し、役員と専任取引士の人数を数える。今日はそこまでやれば十分です。書類集めはそこから一気に進みます。
