宅建の免許とは?取得の費用・要件・申請の流れを徹底解説

- 宅建の免許とは、宅地建物取引業を営むために必要な国の許可で、無免許営業は法律で禁止されている。
- 事務所が1つの都道府県内だけなら知事免許、2つ以上の都道府県にまたがるなら大臣免許になる。
- 新規の申請手数料は知事免許33,000円、大臣免許90,000円かかる。
- 免許の有効期間は5年で、満了日の90日前から30日前までに更新申請が必要。
- 営業を始めるには営業保証金の供託、または保証協会への加入が必須になる。
私は行政書士として8年、宅建業免許の申請サポートを専門にやってきました。元は不動産仲介会社の営業・管理職だった人間です。だから「制度の建前」だけでなく「現場で実際につまずく所」も込みで書きます。
宅建の免許とは?基本の意味と必要になる場面

宅建の免許とは、宅地や建物の売買・交換・賃貸の仲介などを「業として」行うために必要な、宅地建物取引業法に基づく免許のことです。
宅地建物取引業法は1952年に作られた法律です。第3条で、宅建業を営むには免許が必要だとはっきり定めています。
宅建業者(宅地建物取引業者)とは
宅地建物取引業者とは、宅建業の免許を受けて不動産取引を業として行う個人または法人のことです。
ポイントは「免許を受けた者」という点。免許が無ければ、たとえ不動産会社を名乗っても法律上の宅建業者ではありません。
不動産業と宅建業の違い
「不動産業」と「宅建業」は、重なるけれど同じではありません。
不動産業は、賃貸管理やビル管理、自社物件の賃貸経営なども含む広い言葉です。一方の宅建業は、売買・交換の当事者や代理、そして売買・交換・賃貸の「仲介(媒介)」を業として行うものを指します。
よく誤解されるのが、自分のアパートを自分で貸すケース。これは原則として宅建業にあたらず、免許は要りません。仲介として他人の取引を取り持つと免許が必要になる、と覚えておくと整理しやすいです。
免許が必要なケース・不要なケース
免許が必要かどうかは、「不特定多数を相手に」「反復継続して」「宅地建物の取引を行うか」で判断します。
| 取引の内容 | 免許の要否 |
|---|---|
| 他人の不動産売買を反復継続して仲介する | 必要 |
| 不動産を反復継続して売買する | 必要 |
| 自己所有の建物を自分で貸す(賃貸経営) | 不要 |
| 自分の家を1回だけ売る | 不要 |
| 賃貸物件の管理のみを行う | 原則不要(仲介を伴うと必要) |
無免許営業の罰則
宅建業法は、無免許での営業だけでなく、無免許での「表示」「広告」も禁止しています。
根拠は宅地建物取引業法第3条と第12条。免許を持っていないのに「不動産売買します」と広告を出すだけでアウト、という点は見落とされがちです。罰則も定められています。
宅建業免許の2つの種類と選び方
宅建業免許には、都道府県知事免許と国土交通大臣免許の2種類があり、選ぶ基準は「事務所をいくつの都道府県に置くか」だけです。

勘違いされやすいのですが、営業エリアの広さで決まるわけではありません。知事免許でも全国の物件を扱えます。あくまで事務所の所在地が基準です。
都道府県知事免許
1つの都道府県内だけに事務所を置く場合は、その都道府県の知事免許になります。
開業する人の大半はこちらです。たとえば東京都内に本店も支店もあるなら、何店舗あっても東京都知事免許1つで足ります。
国土交通大臣免許
2つ以上の都道府県に事務所を置く場合は、国土交通大臣免許が必要です。
東京に本店、神奈川に支店——この時点で大臣免許です。手数料も知事免許より高くなります(後述)。
知事免許から大臣免許への切り替え(免許換え)
事業の拡大で事務所が他県にまたがると、知事免許から大臣免許への「免許換え」が必要になります。
逆もあります。他県の支店を閉じて1県内に収まれば、大臣免許から知事免許への免許換えです。免許換えをすると免許番号も変わります。
私の経験上、支店を出すタイミングで免許換えを失念し、慌てるケースが多いです。新しい事務所を出す「前」に手続きの段取りを組んでおくのが安全です。
宅建業免許を申請する前に満たすべき要件
宅建業免許を取るには、欠格事由に該当しないこと・事務所を構えること・専任の宅地建物取引士を置くこと・営業保証金を用意することの4つを満たす必要があります。

申請してから「要件不足」で止まるパターンが本当に多い。だからこの章は厚めに書きます。
欠格事由に当てはまらないか確認する
宅地建物取引業法第5条には、免許を受けられない「欠格事由」が定められています。
代表的なのは、一定の犯罪での罰金・禁錮以上の刑を受けて一定期間が経っていない、過去に免許を取り消されてから一定期間が経っていない、といったもの。法人の場合は役員も対象になります。
見落としがちなのが「役員」の範囲です。名前だけの取締役や、影響力を持つ人物も問われることがあります。心当たりがあるなら、申請前に確認しておくべきです。
事務所の要件(独立性・写真・自宅兼事務所の可否)
事務所は、他社や生活空間と明確に区切られた「独立性」が求められます。
具体的には、固定電話・事務机・接客スペースなどを備え、継続的に業務を行える形であること。申請時には事務所内外の写真の提出を求められるのが一般的です。
自宅兼事務所は不可ではありませんが、ハードルが上がります。玄関から生活スペースを通らずに事務所に入れるか、独立した部屋として区切られているか——ここで補正がかかる人が非常に多い。賃貸物件なら、用途が「事業用」として使えるかも事前にチェックが必要です。
専任の宅地建物取引士の設置要件(5人に1人・常勤性)
事務所ごとに、業務に従事する者5人につき1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置く必要があります。
「専任」とは、その事務所に常勤し、専らその宅建業に従事していること。他社で常勤していたり、遠方に住んでいて通勤が現実的でなかったりすると、専任性を否定されることがあります。
個人事業主本人が宅建士なら、自分が専任の取引士を兼ねられます。一人で開業するならこの形が一番シンプルです。
営業保証金と保証協会加入の比較
取引の相手を守るため、営業保証金を供託するか、保証協会に加入するかのどちらかが必須です。
正直に言うと、新規開業の多くは保証協会への加入を選びます。営業保証金は主たる事務所で1,000万円という大きな金額を法務局に供託する必要があり、開業時にこれを現金で用意できる人は限られるからです。保証協会なら分担金を納めることで、はるかに少ない負担で営業を開始できます。
| 項目 | 営業保証金(直接供託) | 保証協会への加入 |
|---|---|---|
| 初期の現金負担 | 大きい(主たる事務所1,000万円) | 小さい(分担金は60万円) |
| 手続き | 法務局へ供託 | 協会への入会手続き |
| 返還・退会時 | 供託金が戻る | 入会金等は戻らない部分がある |
| 向いている人 | 資金に余裕がある | 開業時の負担を抑えたい |
※金額は制度上の基準です。最新の正確な数値と地域ごとの取り扱いは、加入予定の保証協会と管轄窓口で必ず確認してください。
私が相談を受けるなら、特別な事情がない限り保証協会を勧めます。1,000万円を寝かせる余裕があるケースはまれだからです。
宅建の免許の費用はいくら?取得にかかるお金の内訳

宅建の免許取得にかかる主な費用は、申請手数料(または登録免許税)と、営業保証金または保証協会への分担金です。
ここは競合記事でも金額がぼかされがちな所。確認できる数値だけ、はっきり書きます。
申請手数料と登録免許税
新規免許の費用は、知事免許なら登録免許税33,000円、大臣免許なら申請手数料90,000円です。
| 免許の種類 | 金額 | 根拠法令 |
|---|---|---|
| 都道府県知事免許(新規・登録免許税) | 33,000円 | 登録免許税法 |
| 国土交通大臣免許(新規・申請手数料) | 90,000円 | 宅地建物取引業法関係手数料令 |
更新時にも手数料がかかります。新規と更新で扱いが異なるので、更新の時期が来たら最新の案内を確認してください。
営業保証金と弁済業務保証金分担金
費用の差が一番大きく出るのが、この保証金まわりです。
営業保証金を直接供託する場合、主たる事務所分で1,000万円。一方、保証協会に加入する場合は、弁済業務保証金分担金として主たる事務所分で60万円を納めます。この差は10倍以上です。
なお、保証協会には分担金とは別に入会金・年会費などがかかります。総額は加入する協会によって変わるため、申込先で見積もりを取ってください。
行政書士に依頼する場合の費用相場と自分で行う場合の比較
申請を自分でやれば実費だけ、行政書士に頼めば実費に報酬が上乗せされる、というのが基本構造です。
報酬額は事務所や案件の難易度で幅があるので、ここで「いくら」と断定はしません。正直に言うと、要件をきれいに満たせる単純な案件なら、自分で申請して費用を抑えるのは十分現実的です。
一方、自宅兼事務所で独立性が微妙、役員に欠格事由の懸念がある、開業を急いでいる——こういうケースは専門家に任せた方が結果的に早く安く済むことが多いです。補正で何度も往復すると、その時間こそコストですから。
宅建業免許の申請から交付・事業開始までの流れ
申請から営業開始までは、書類作成→申請・審査→免許通知→保証金の供託または保証協会加入→免許証交付、という順で進みます。

大事なのは、免許通知が来ても「まだ営業できない」こと。保証金の手続きを終えて初めてスタートラインに立ちます。
申請書類を作成する(必要書類チェックリスト)
最初の関門は書類づくりです。申請書本体に加え、多くの添付書類が必要になります。
- 免許申請書(様式に沿って記入)
- 宅地建物取引業経歴書
- 誓約書(欠格事由に該当しない旨)
- 専任の宅地建物取引士の設置証明関係の書類
- 事務所の使用権原を示す書類(賃貸借契約書など)
- 事務所の写真・周辺地図・平面図
- 代表者・役員・専任取引士の身分関係書類
必要書類は免許の種類や法人・個人で変わります。様式と手引は国土交通省や各都道府県の公式案内に揃っているので、必ず最新版を使ってください。
申請・審査と標準処理期間の目安
書類を窓口に提出すると審査に入ります。
審査には一定の日数がかかり、書類に不備があれば補正の連絡が来ます。標準処理期間は免許権者ごとに定められているため、開業予定日から逆算して、余裕を持って申請するのが鉄則です。具体的な日数は、申請する都道府県の手引で確認してください。
免許通知・営業保証金の供託または保証協会加入
審査を通ると免許の通知が届きます。ここで保証金の手続きに進みます。
